AirPods 5 にノイズキャンセリングが付いて、Pro 3 との差は19,000円に開いた

黒い背景に置かれた白いワイヤレスイヤホン

AirPods 5 は23,800円から全モデルにノイズキャンセリングが付き、ANC 付きの AirPods 4 より9,000円安くなった。そのぶん Pro 3 との差は19,000円に広がった。耳をふさがないので、電車の走行音は減っても、駅のアナウンスや話し声は残りやすい。

AirPods 5 は、ANC 付きの AirPods 4 より9,000円安い23,800円から買えます。ノイズキャンセリングが全モデルに付いたので、これまで32,800円だったモデルと同じ役目を、安いほうの値段で果たすことになります。静かにすること自体が目的なら Pro 3、耳をふさがれるのが苦手で、音量を上げずに聴ければいいなら AirPods 5 で足ります。

ANC の上乗せ9,000円が無くなった

AirPods 4 の世代では、ノイズキャンセリングは追加料金のかかるオプションでした。ANC なしが23,800円、ANC ありが32,800円で、同じ形のイヤホンに9,000円の差が付いていました(どちらも2026年7月18日の価格改定後の値)。AirPods 5 はここを1つにまとめ、23,800円のモデルにもノイズキャンセリングを載せています。

米国でも129ドルのまま、50ドルの上乗せが無くなりました。これまで Apple は、安いほうの AirPods に機能を足すと値段も上げることが多かったので、これは良い変更だと思います。

Pro 3 との差は10,000円から19,000円へ

この値下げで、上のモデルとの距離も変わりました。

AirPods 5AirPods 5(ワイヤレス充電ケース付き)AirPods Pro 3
価格23,800円27,800円42,800円
装着耳をふさがない耳をふさがないイヤーチップで密閉
ANC 再生時間最大4時間最大5時間最大8時間
ケース込み最大20時間最大22時間最大24時間
音量スワイプなしありあり
心拍センサーなしなしあり
防塵・耐水IP57IP57IP57

これまでは ANC 付きの AirPods 4 が32,800円、Pro 3 が42,800円で、差はちょうど10,000円でした。あと10,000円出すなら Pro にしておこう、と考えやすい差だったと思います。それが今は23,800円と42,800円で、19,000円の差です。同じように上のモデルにするかを考えても、払う額が倍近くになりました。

安いほうが良くなったせいで、Pro 3 のほうが選びにくくなっています。Pro 3 を考えている人は、Pro でしかできないことを具体的に挙げられるかどうかで決めたほうがいいです。

耳をふさがない ANC は、何を消して何を残すのか

イヤホンの遮音は、耳を物理的にふさぐことと、逆位相の音をぶつけて打ち消すこと(ANC)の組み合わせでできています。Pro 3 はイヤーチップで耳の穴を密閉するので、ANC を切っていても耳栓としてそれなりに効きます。耳の穴をふさがない AirPods 5 は、遮音を ANC だけに頼ることになります。

打ち消しが得意なのは、低くて一定の音です。電車の走行音、飛行機のエンジン音、エアコンの音のように、波形が予測しやすい音は消しやすい。逆に、突然鳴る音や高い音は苦手です。駅のアナウンス、食器がぶつかる音、キーボードを打つ音は残りやすく、密閉型ならイヤーチップがある程度減らしてくれますが、AirPods 5 にはその分がありません。

発売前に実機を試した記事でも、評価は割れています。ゴリミーは騒がしい会場で「人の話し声を打ち消すのが得意」と書き、Phile-web は「人の話し声や不規則な音は完全には遮断されない」としています。仕組みから考えると、話し声は減るけれど消えはしない、というあたりだと思います。

オープンイヤーのイヤホンから乗り換えるなら、はっきり静かになったと感じるはずです。密閉型のノイズキャンセリングイヤホンから乗り換えるなら、物足りなく感じる可能性が高いです。

「1.5倍」と「3倍」は比べられない

Apple は AirPods 5 について「ANC搭載の AirPods 4 より最大50パーセント多く外部ノイズを除去する」と書いていて、日本のページでは「最大1.5倍のアクティブノイズキャンセリング」と表現しています。一方、Pro 3 のページには「最大3倍」とあります。

並べると Pro 3 が2倍効くように読めますが、比べている相手が違います。AirPods 5 の1.5倍は ANC 付きの AirPods 4 との比較で、Pro 3 の3倍は別の基準です。Apple はどちらについても、何デシベル減るのかを公開していません。海外のオーディオ系メディアの Headphonesty からも、実際の効き目は Apple の言う「最大50%」より小さいかもしれない、という記事が出ています。カタログの倍率は、機種選びの決め手にしないほうがいいと思います。

27,800円のモデルは、ケース以外も違う

23,800円と27,800円の差を、ワイヤレス充電が要るかどうかだけで考えないほうがいいです。4,000円高いほうは、イヤホン本体の仕様も違います。

高いほうはステム(軸の部分)に感圧センサーが入っていて、上下になぞると音量を変えられます。Apple によると、オープンイヤー型では初めての搭載です。バッテリーも ANC オンで最大5時間と、安いほうの4時間より1時間長く、ケース込みでも22時間と20時間の差があります。

Qi 充電が要らない人でも、音量をイヤホンで変えたいなら高いほうです。安いほうを選ぶと、音量は iPhone を出すか、Siri に頼んで変えることになります。再生と停止しか使わないなら、4,000円は浮かせていい差です。

Pro 3 でないと困る人

電車や飛行機での移動中に、音楽を流さずただ静かにしたい人は Pro 3 です。耳栓の代わりを求めるなら、密閉できる Pro 3 でないと足りません。ワークアウト中に心拍数を測りたい人も、心拍センサーがあるのは Pro 3 だけです。1日8時間つけっぱなしにしたい人には、再生時間が8時間ある Pro 3 が向いています。AirPods 5 の4〜5時間では、途中で一度ケースに戻して充電することになります。

反対に AirPods 5 で足りるのは、カナル型で耳が痛くなる人や、耳が詰まる感じが苦手な人です。在宅で家族の声やインターホンは聞こえていてほしい人、歩きや自転車で周りの音を残したい人も同じです。音楽より通話や Podcast、動画の時間が長いなら、密閉はかえって邪魔になります。

イヤホンに求めているのが静けさなら、Pro 3 まで行く価値があります。聴きやすさが大事なら、AirPods 5 の23,800円で止めて、浮いた19,000円は別のものに使ったほうがいいと思います。

試してから決めるなら

発売は9月18日です。ノイズキャンセリングの効き方は、いつもの通勤路線で使ってみないと分からない部分が残ります。店頭で試せるなら、Pro 3 と付け替えて、店内の話し声や BGM がどれくらい残るかを比べてみてください。AirPods 5 は出たばかりで値引きは期待しにくいので、23,800円と27,800円のどちらにするかを決めるほうに時間を使ったほうがいいと思います。

出典

  1. AirPods 5 - 技術仕様(Apple 日本)
  2. Apple introduces AirPods 5 with best-in-class open-ear Active Noise Cancellation(Apple Newsroom)
  3. AirPods のモデルを比較する(Apple 日本)
  4. 「AirPods 5」登場 アクティブノイズキャンセリングを標準化して2万3800円から(ITmedia Mobile)
  5. Apple MusicやApple TV、AirPodsシリーズなど値上げ(AV Watch)
  6. iPhone以外も値上げ、AirPodsやApple Musicなど新価格まとめ(ケータイ Watch)
  7. AirPods 5を現地で試した。これは凄いぞ。耳を塞がずここまで静かになる(ゴリミー)
  8. 「AirPods 5」速攻レビュー。驚きのノイキャンと音質がイヤホンの基準を変える(Phile-web)
  9. AirPods 5 Could Gain Far Less Noise Cancellation Than Apple の Up to 50% Claim(Headphonesty)
  10. サムネイル写真: Photo by kavin pradeep on Pexels