日本で Pixel Watch 5 を買っても、呼吸の緊急検知は使えません

机の上で Google の検索ページを表示しているタブレット

Pixel Watch 5 の呼吸の緊急事態検知はヨーロッパの一部の国だけの機能で、眠って30分を過ぎると働かない。日本で使えるのは、睡眠中の呼吸の記録と、英語圏で Blood Pressure Trends と呼ばれている「血管ストレス」で、どちらも体の変化をあとから振り返るための機能。

Pixel Watch 5 の新機能として報じられた「呼吸の緊急事態検知」は、日本では使えません。Google のヘルプに載っている提供国は、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの国だけです。日本でも「腕時計で呼吸異常をAI検知」という見出しのニュースが出ていたので、買えば同じことができると受け取った人は多いと思います。

日本の Pixel Watch 5 で受け取れるのは、睡眠中の呼吸の記録と、月ごとの「血管ストレス」のトレンドです。英語圏で Blood Pressure Trends(血圧トレンド)と呼ばれている機能が、日本ではこの名前になっています。どちらも、ひと月ぶんの変化をあとから振り返るための記録です。

呼吸の緊急事態検知は何をする機能か

手首の光学式心拍センサー(PPG)、加速度センサー、気圧センサーのデータを時計の中の AI が読み、血中酸素飽和度(SpO2)が急に下がったまま戻らない状態を見つけます。Google が想定している場面は、薬物による中毒、事故、重い肺炎、窒息などです。病気を見つける機能というより、倒れて自分で電話できなくなった人の代わりに通報する機能です。

見つけたあとは段階を踏みます。まず振動と画面の通知で本人に呼びかけ、30秒ほど反応が無ければ音を鳴らして30秒のカウントダウンに入ります。それでも反応が無いと緊急通報につなぎ、録音済みの音声と現在地を伝えます。緊急連絡先を登録していれば、その人にも位置のリンクが SMS で届きます。

対応するのは Pixel Watch 4 以降で、LTE モデルか、Bluetooth でスマートフォンとつながっている Wi-Fi モデルが必要です。18歳未満、妊娠中の人、ふだんから SpO2 が93%を下回る人、COPD や心不全のある人は対象外とされています。ヨーロッパでは CE マークを取っていますが、アメリカの FDA の認可は受けていません。

寝ているあいだは見ていない

ヘルプを読んでいて一番引っかかったのは、眠ってから30分を過ぎると検知しないという条件です。Google のブログによると、睡眠時無呼吸で誤って通報しないための設計です。夜中に呼吸が止まっていないか心配で Pixel Watch を選ぼうとしているなら、仮に日本で提供が始まっても、この機能はその用途には合いません。

誤報への備えもあります。30日のうちに誤った通報が2回、または誤った振動通知が3日あると、機能が自動でオフになります。標高2,500mを超える場所では動かず、一酸化炭素による中毒も検知できません。

日本で見られる睡眠中の呼吸

眠っているあいだの呼吸が気になる人に関係するのは、睡眠中の呼吸品質のほうです。睡眠中の SpO2 の揺れから呼吸の状態を分単位で追い、朝に呼吸が安定していた時間の割合を出し、月単位でも長めの傾向をまとめます。こちらは通報も警告もしない記録なので、いびきや無呼吸を家族に指摘されているなら、時計の数字を見るより先に病院で相談したほうが早いです。

血管ストレスは血圧計の代わりになる?

血管ストレスは、脈の波形と体の動きを1か月ぶん集めて、血圧まわりの傾向を推定する機能です。腕に巻くカフも、血圧計での校正も要りません。Google は50万人以上のデータで作った脈波のモデルを使っていると説明していて、結果は Google Health アプリに月ごとのトレンドとして出ます。大きな変化があったときは通知も来ます。

ただ、Google 自身が血圧計の代わりではないと書いていて、高血圧のスクリーニングにも使わないよう案内しています。測るたびに上と下の数値が出るのかどうかは、まだ分かっていません。英語の「血圧」が日本で「血管ストレス」に言い換えられているのも、血圧を測る医療機器だと受け取られないようにするためだと思います。

仕様を並べてみて、使いどころは家で血圧を測っていない人にあると感じました。朝晩きちんと血圧計で測っている人にとっては、月に一度の傾向が増えるだけで、新しく分かることはあまりありません。測る習慣が無い人なら、通知が来たときに血圧計を買うきっかけにはなります。

Pixel Watch 3 や 4 を持っている人は

報道によると、血管ストレスや、同時に発表された代謝ストレスのトレンドは、Pixel Watch 3 以降と Fitbit Air にも配信されます。呼吸の緊急事態検知も Pixel Watch 4 から使えるので、ここまで書いた健康機能は、どれも Pixel Watch 5 に買い替える理由にはなりません。Pixel Watch 5 は62,800円からで、買い替えを考えるなら新しいチップや GPS の精度のほうを見て決めることになります。

手元に Pixel Watch 3 か 4 があるなら、9月の配信のあとに Google Health アプリを開いて、血管ストレスの項目が出ているかを見てください。有料の Google Health Premium が要るのかどうかは、まだ分かっていません。

出典

  1. Google Pixel Watch 5(Google ストア)
  2. Track subtle changes in your body with Health Guardian features on Pixel and Fitbit(Google ブログ)
  3. Breathing emergency detection, now on Pixel Watch(Google ブログ)
  4. What is Breathing Emergency Detection on my Google Pixel Watch?(Google Health ヘルプ)
  5. グーグル「Pixel Watch 5」を発表、血管や代謝のストレス傾向も可視化(ケータイ Watch)
  6. グーグル、腕時計で呼吸異常をAI検知──Pixel Watch 5投入(ビジネス+IT)
  7. Google「Pixel Watch 5」登場。チップ刷新で高速化、ルート精度向上、新健康機能も(Gadget Gate)
  8. サムネイル写真: Photo by AS Photography on Pexels